どーも、もりふくろー(@morifukuro_camp)です。
今回はキャンプに関する書籍のご紹介
根強いファンを持ち日本のアウトドア業界をけん引するアウトドアブランド
「スノーピーク Snow Peak」
現在スノーピークの代表取締役会長を務める山井 太(やまい とおる)氏の初の著書
出典:スノーピーク
『スノーピーク「好きなことだけ! 」を仕事にする経営』
この本は
いかにして今のスノーピークというアウトドアブランドへと成長していったのか?
経営理念・経営戦略・製品への情熱・ユーザー目線になった商品開発など、山井氏の熱い思いが伝わってきて、勉強にもなるし楽しめる一冊となっています。
内容
どんな会社?
新潟県三条市に本社を置くオートキャンプ製品を中心にハイエンドなアウトドア製品の開発・製造・販売を展開するアウトドアブランド。
東証一部上場企業
「オートキャンプ」のスタイルを生んだ会社として知られている
スノーピークの前身は山井 太氏の父である山井 幸雄(ゆきお)氏が釣具や登山用品を販売する会社で山井氏が86年に入社してから本格的にキャンプ用品の製造販売を行うようになる。
社名は「山井幸雄商店」→「有限会社山井商店」→「株式会社ヤマコウ」
そして96年に山井氏が社長就任時に社名を現在の『スノーピーク』に変更
ユーザー目線の商品開発と、ものづくりのまち地元「燕三条」の伝統ある技術で高品質かつデザイン性の高い商品を作り続けている。
2020年に山井 太氏は会長に、社長は娘の山井 梨沙(りさ)氏が就任している。
スノーピークのキャッチコピー
「人生に、野遊びを。」は
「つかの間、人の心に野生を取り戻すこと」という思いが込められている
スノーピークを代表する製品
焚き火台
直火禁止のルールを、キャンパーとして常識のマナーに変え、「焚火台」という商品ジャンルが世の中に誕生するきっかけとなった。スノーピークを象徴するロングセラー製品。
ソリッドステーク
「ペグは消耗品」という概念を変えた最強ペグ。スノーピークのシンボル。燕三条に伝わる鍛造製法で、どんなに固い地面にも確実にテントやタープを固定できる。
チタンシングルマグ
ランドロック
リビングと寝室をひとつでまかなえる、2ルームシェルター。
中でもランドロックは、風に強いフレームワークと快適な居住性により、オールシーズンでキャンプを楽しめ、満足度もトップクラス。
ほおずき
スノーピーク「好きなことだけ! 」を仕事にする経営
スノーピークウェイ(企業理念)
スノーピークの企業理念(ミッションステートメント)としてスノーピークウェイを掲げている
山井氏は「コンパスの針先が常に真北を示すように、進むべき真北の方角を見失わなかったからスノーピークは成長できた」という
真北の方角を一言でいうと「ユーザーの笑顔」と表現している
mission statement
The Snow Peak Way
私達スノーピークは、一人一人の主体性が最も重要であると自覚し、
同じ目標を共有する真の信頼で力を合わせ、
自然指向のライフバリューを提案し実現するグローバルリーダーになろう。
私達は、常に進化し、革新を起こし、時代の流れを変えていきます。
私達は、自らもユーザーであるという立場で考え、
お互いが感動できる体験価値を提供します。
私達は、地球上の全てのものに良い影響を与えます。
山井氏が入社した当時はミッションステートメントが無く、皆の意見から出来上がった
何のために自分は働くのかをしっかり示すことで社員のベクトルを一つの方向に向けている
スノーピーカー
スノーピーカーとはスノーピークを支持する熱狂的なユーザー。
ファンづくりの一つにポイントカードの存在がある
レギュラー・シルバー・ゴールド・プラチナ・ブラックまで1年間の購入金額に応じてランク付けされている
人数で見ると6~7%のプラチナ以上の会員の売り上げがスノーピーク全体の1/4を占めているのでそれだけ熱心なユーザーがスノーピークを支えている
これだけのファンを生む核となっているものは他社との圧倒的に差異化した製品とサービス。
ミッションステートメントにもある
「自らもユーザーであるという立場で考え、お互いが感動できる体験価値を提供」
このコンセプトを通してユーザーがどんどんファンになっていく
市場調査は行わない
山井氏の入社当時は9,800円や19,800円の雨漏りしたりすぐに潰れる品質の低いテントしかなかった
その中で、しっかりしたテントやキャンプ用品がほしいという思いで、最初に作ったテントはなんと168,000円という高価格なものとなったが、これにより品質を求めていたユーザーに買ってもらえハイエンドのキャンプ用品市場が誕生
スノーピークは徹底的にキャンプにリッチな価値観を導入しユーザーの支持を集める
これがスノーピークの熱狂的なファンを生む原動力となった
最初に作ったテントのようにユーザーの立場で
世の中にない製品を作るのに今ある製品には興味がないということで
市場調査は必要ない
保証書がない=製品を永久保証
スノーピーク製品には保証書がありません。
それは保証しないという事ではなく
「永久に製品の保証をしているから」
永久保証と聞くと「本当にそんなことできるのか?」と思う方は多いと思いますが、
山井氏は「メーカーとして品質には自信を持っているし、当然のこと」という
例えば製品のパーツが外れたら製造上の欠陥になるから無料で取付け直す
ただし素材には限界があるため、素材自体の摩擦や経年劣化などは対象外。
ミッションステートメントにもある「自らもユーザーであるという立場」で考えた発想
アウトドア製品を使っているときに感じる嫌なことは大きくこの2つ
・製品が壊れる
・使い勝手が悪い
山井氏には「そんなものづくりはしない」という強い思いがある
ちなみにこの山井氏は入社してすぐに永久保証を提案したそうで、
後に他の社員は
「突然エイリアンみたいな息子が入ってきて何か言ってるぞ」
と思ったそう(笑)
スノーピークウェイ(イベント)
企業理念と同じ名前のイベントが98年から毎年開催されている
出典:スノーピーク
このイベントは
顧客と社員が一緒にキャンプを楽しむイベント
山井氏も他の参加者と同じアウトドア愛好家の1人として参加しユーザーと向き合う
交流が目的のため商品の販売は行わない
イベントを始めるきっかけは売り上げが低迷していた時期に
「スノーピークとは何か?」「存在する意義は何か?」分からなくなっていたとき、
社員の一人が
「ユーザーの顔を見ると仕事を頑張れる」
という一言から始まった
焚き火を囲ってユーザーと本音で話し合う事(焚き火トーク)によって経営改革のヒントが生まれ売り上げも上昇し現在につながっている。
ユーザーの声が原動力
98年に初めて行われたイベント(スノーピークウェイ)でユーザーからは同じ内容の意見を言われた。スノーピーク製品の品質は認めるけど
「値段がやはり高い」
「品揃えが悪い」という2点。
品質は落とせないので、問屋との取引をやめ流通コストをカット。
50万人商圏に1店舗ずつ全国に配置し欠品の無い効果的な流通を構築。
実際に製品を取り扱う店舗は1/4に減ったがのちに売り上げは上昇に転じた。
この改革を実行するのは簡単ではなく、問屋の方には心無い事を言われたりしたようですが支えになったのはやはりユーザーの言葉という。
山井氏はイベント時に話したユーザーの意見が今のスノーピークを作っていると言い、その思いを2000年のカタログに掲載しています。(本書にも掲載)
そこにはこのような事が書かれています。
99年のスノーピークウェイで販売網の再構築と流通革命によるプライスダウンを成功させた報告をした時にはユーザーの方から大きな暖かい拍手をいただいたこと。
98年にはユーザーの方達が「リビングシェル」の開発を強く要望して、それが2000年の会場にセットされているのを見て感動し、泣いて喜んでくれたこと。
この方々のためにスノーピークは存在していると実感できる瞬間でした。
スノーピークウェイの会場では
「社員の皆さんと、もっともっとよい会社にしていってくださいね、私たちが応援していますから」
と帰り際に何人ものスノーピーカーがいってくださいました。
終了後、スタッフと一緒にタープを撤収しながら涙が出るのを止められませんでした。
ユーザーの皆様に喜んでいただけるビジネスを、皆で力を合わせてやっていけることに、素直に感謝の気持ちがわいてきます。
とユーザーに感謝の言葉を記しています。
こういったイベントでユーザーに寄り添ったより良い企業、より良い製品が生まれる貴重なものだと強く感じました。
スノーピークで働くということ
スノーピークの本社施設はヘッドクオーターと名付け
「自然指向のライフスタイルを提案し実現する」というミッションステートメントに向かうため、2011年に市街地から元牧場の丘陵地帯へ移転
本社の目の前はキャンプフィールドで5万坪のキャンプ場の中に1500坪の本社施設がある
出典:スノーピーク
社員はアウトドア好きな人で地元新潟出身者は2割程度
仕事が終わってキャンプ場でキャンプをして翌朝にそのまま出社するほどの人もいるほど
これだけを聴くとただアウトドアが好きなら社員になれるのかと思ってしまうが、趣味程度に好きくらいでは社員になれません。アウトドアがライフスタイルになっているのが最低条件。さらにスノーピークは前例のない事に挑戦する企業なので主体性を持っていなければならない。さらにブランド力を上げられる人材が求められる。
中途採用も積極的に行っており、これまでの実績よりもこれから何が出来るのかが重要とされている。
山井氏はブランドの成長は社員の成長という考えから社員に日報を書くように義務付け、必ず読むようにし社員の成長を評価している。
家族が最も幸せになれるのがオートキャンプ
いかがだったでしょうか、以上が『スノーピーク「好きなことだけ! 」を仕事にする経営 』の書籍紹介になります。
スノーピークというアウトドアブランドを深く知ることのできる一冊でした。
ユーザーを第一に考え身近な存在であり続けたから今のスノーピークがあったんですね。
他にも本の中でこのような言葉がありました
「家族が最も幸せになるのがオートキャンプだと思う。」という言葉
子供が家ではあまり見せないようなイキイキした笑顔を見る事ができたり、自然とふれ合い非日常を満喫できるキャンプの力は大きいと思います。
スノーピークウェイの企業理念のもとユーザーを笑顔にするために突き進んでいってほしいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。またお会いしましょう